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腰椎分離症

小・中・高校生でスポーツをしているお子さんに多い疾患です。

成人にはおこらないと考えられていましたが、プロ野球入団時にはなかった分離症が、その後発生した例もあり、18歳以上でも起こることがわかってきました。

腰をそることやねじることが多い競技で起こりやすく、野球・サッカー・バレーボール・ハンドボール・バスケットボール・水泳・陸上・新体操等様々なもので起こります。

スポーツ活動をしていて腰の痛みや違和感を訴える場合は積極的に疑って精査する必要があります。

病気の本質は、負担がかかる部分での腰骨の疲労骨折で、骨折が早期に見つかれば、安静とコルセットによる固定をして骨折部を癒合させることを目指します。

以前は分離症を早期に画像で診断することは大変困難でした。

また分離症がレントゲンなどで比較的早期と考えられる状態で発見されても、安静と固定をすることで分離が癒合するのか見極めることも非常に困難でしたが、ここ数年でMRI検査による早期診断法が確立され、分離部が癒合する可能性が高いかどうかが診断できるようになりました。

分離部の癒合を目指す場合には、コルセットを入浴時以外は外さないようにして、学校体育を含めて、登下校以外の活動は完全に休むことを私は勧めます。スポーツに一生懸命になっているお子さんには辛い選択だと思いますが、中途半端にスポーツ活動をすることは避けるべきだと考えています。これは子を持つ親としての私の考えです。

スポーツを続けると分離部の癒合が期待できなくなる可能性が高いと考えられるとしても、スポーツを今は絶対休むことができない状態であると本人のみならず、親族も考える場合や、病状が進んでしまっていて分離部の癒合をあまり期待できない状態で発見された場合は、痛みを取るための治療が主体となります。その場合はお薬による治療や、透視下の分離部のブロック注射、体幹筋力強化を含めたリハビリ治療など行い、スポーツ復帰を目指します。

分離部が癒合しなかったとしても、必ずしもずっと痛みがでる原因になるわけではありません。

またプロ入りする野球選手にはかなりの確率で腰椎分離症が見つかります。このことは分離症があるからスポーツ活動がまったくできなくなるというわけではないことを示していると考えます。

では分離症があるといったい何が問題なのか?

やはり慢性的な腰痛の原因になる場合があること、分離部で瘢痕(はんこん)や骨の刺ができたりして神経を圧迫刺激して神経痛を出したりすることがあること、腰の骨がずれて 分離+すべり症(分離すべり症)となり腰痛と神経痛や麻痺の原因になりえることなどがあげられます。そのため私は分離部が癒合する可能性があるものは出来るだけ癒合を目指すべきだと考えています。

分離がない正常の状態の腰椎です。
腰椎の椎弓という部分に疲労骨折による分離が見えます。
横からみた椎弓の分離です。

野球肘

少年野球の子供が肘を痛がる場合にはこの病気を考える必要があります。物を投げるスポーツで起こります。

野球肘には内側型野球肘、外側型野球肘、後方型野球肘の3種類がありさらにそれぞれの複合タイプがあります。

ボールを投げる時に肘には外に開かれる力(肘外反力)が加わりやすいため、肘関節内側に牽引力がかかり、靭帯の付着部の骨がはがれたり・靭帯が痛んだりするものが内側型野球肘であり、肘の内側に痛みが起こります。

肘が外に開かれるために肘の外側で骨どうしがぶつかり(上腕骨小頭に橈骨がぶつかり)骨として未成熟の軟骨が損傷したり・損傷した軟骨が上腕骨小頭からはがれてしまうのが外側型野球肘(上腕骨小頭離断性骨軟骨炎)であり、肘の外側に痛みが起こります。
またはがれた軟骨が関節ネズミとなり関節に引っかかると急に痛みが出たりします。
また肘の屈曲を繰り返す運動では肘内側の尺骨神経障害を起こすこともあります。

投球時の上腕三頭筋による牽引の繰り返しにより、未成熟な肘頭の骨端線に負担がかかり骨端線が開いたり、繰り返す負担により肘頭に疲労骨折が起きてしまうこともあります。また投げ終わって肘が伸びた時に肘頭と上腕骨の骨どうしがぶつかり負担がかかることで骨の刺ができて痛みがおきたり、骨の刺の骨折が起きることもあります。これらは肘の後方に痛みをおこし後方型野球肘と呼ばれます。

レントゲン検査では早期には変化がわかりづらいので当院では積極的に筋骨格様のエコーを用いて早期診断に努めます。
スポーツを一時休止し、安静にして、骨の病変には骨の治癒を促進するべく超音波をあてる治療などをリハビリにて行い治療期間の短縮を目指します。
また投球は下半身からの運動連鎖で行われる動作であり、たとえば股関節が硬かったりすることで肘に負担が出ているなどということもありますので、各関節の可動域の十分な拡大や筋力強化をおこないます。

また投球練習の復帰に際し、現在のスポーツ医学からみて個性ではすまされないようなフォームの異常がある場合には、そのフォームでの復帰は再発の危険がありますので、フォームチェックをおこないます。

またリトルリーグショルダーに関してもエコー検査を積極的に行い早期発見と治療に努めます。
筋肉骨格様のエコーです。
外側型野球肘のエコー像です。

疲労骨折

スポーツ活動をハードにおこなうことで起こります。

下肢に起こるものがよく知られ、ランニング量が多い場合起きやすくなります。

陸上競技では脛骨の疲労骨折がよく起きますし、サッカーでは第5中足骨の疲労骨折が有名です。他にもジム通いや重量挙げやゴルフなどで肋骨などにも起こることがあります。

疲労骨折の中でも脛骨跳躍型疲労骨折やサッカー選手の第5中足骨の疲労骨折(Jones骨折)では手術治療を必要とすることが多いので、単なる骨折や疲労骨折とせずに的確な診断が必要となります。

初期のレントゲン検査だけでははっきりしないことも多く、診断にはMRIなどを必要とすることもあります。

治療にはランニングなどのスポーツ活動を休止して、リハビリに通院していただき骨病変に関しては骨の治癒を促進するべく超音波治療を続けていただき治療期間の短縮を目指します。また他の関節の可動域の検査をして必要なら拡大を目指します。

脛骨の疲労骨折(疾走型疲労骨折)です。
第5中足骨疲労骨折(Jones骨折)です。

当院の電話番号は(0562)54-0770 です。 

 
    

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